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第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌

第9節:寺院・神社・堂庵明細帳

比企郡神社明細帳

埼玉縣武蔵國比企郡七郷村(ななさとむら)大字太郎丸(たろうまる)字午(うま)
 村社

  淡洲神社(あわすじんじゃ)

一、祭神(さいじん) 速御玉姫命(はやみたまひめのみこと)
一、由緒
大化(たいか)年中(645-650)本社再建スル所ナルト自来*1年月久シキヲ経(へ)ルヲ以テ之レカ修繕ヲ施(ほどこ)スト雖(いえども)元禄(げんろく)ノ頃(1688-1704)社宇*2大(おおい)ニ破損ス是(これ)ヲ以テ猶(なお)再建スト云フ棟札(むなふだ)ニ元禄(げんろく)八年(1695)九月吉辰ト記載アリ今現ニ存立スル社宇ハ則(すなわ)チ之トナリ明治四年中(1871)中村社ニ列セラル明治三十六年(1903)四月二十五日上地林(あげちりん)百十八坪ヲ境内ニ編入許可

一、社殿 本殿 向拝*3付(つき)

*1:自来(じらい)…それ以来。
*2:社宇(しゃう)…神社の建物。
*3:向拝(こうはい)…社殿や仏堂の前面にあって、参拝する人や階段を雨からまもるためのもの。階隠(はしかくし)・日隠。

一、境内 三百六十三坪

一、氏子 貮拾参戸

一、境内神社
 菅原神社(すがわらじんじゃ)
祭神 菅原道真公*1
由緒 本社アリ後ニ建立シラル由(よし)只(ただ)ニ口(くち)ニ傳(つた)フ

 稲荷神社
祭神 倉稲魂命*2
由緒 不詳
社殿 本殿

 巖島神社(いつくしまじんじゃ)
祭神 市杵島姫命*3
由緒 寛政十年(1798)十一月本村婦女子等ノ建立スル処(ところ)ナリ
社殿 (本殿)石宮(いしみや)

*1:菅原道真公(すがわらみちざねこう)…平安前期の公卿・学者・文人(845-903)。学問・書・詩文にすぐれ、菅公と称され、後世、天満天神として祭られる。
*2:倉稲魂命(うかのみたまのみこと)…伊弉諾(いざなぎ)・伊弉冉(いざなみ)二神の子、あるいは速須佐之男命(すさのおのみこと)の子ともいう。「うか」は「うけ」の転で穀物・食物を意味し、「たま」は霊の義。五穀豊穣(ごこくほうじょう)の神。
*3:市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)…天照大神(あまてらすおおみかみ)と須佐之男命(すさのおのみこと)が誓約(占い)をした際、須佐之男命の剣から生まれた三女神のなかの一神。水の神。

「昭和38年度文書 埼玉県学事課 比企郡神社明細帳」

淡洲神社(2003年5月22日撮影)

淡洲神社|写真1

淡洲神社|写真2

淡洲神社|写真3

淡洲神社境内図
淡洲神社境内図『埼玉の神社 大里・北葛飾・比企』(埼玉県神社庁、1992年)1405頁

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