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第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし

第2節:回顧録・作文

大塚基氏「私の100話」

あとがき

 明治維新は、それまでの日本の中で如何にあるべきかであった日本人の在り方を、世界の中で如何にあるべきかであるかと大きく変えました。
 しかし、日本人の生活の基盤は農林業や漁業の第一次産業であって、地方に残る遊びなども含む伝統文化、生活様式は、変化がありながらも脈々と息づいていました。
 そして、家族や地域を大事にする心情にも変わらぬものがありました。
  しかし、第一次世界大戦での敗戦で味わったどん底の生活の中から、日本が産業経済大国へと駆け上がる過程で、従来の価値観の崩壊と生活のリズムに大きな変 化が生まれました。住居も茅葺屋根から新建材主体の建物に変わり、生活様式、生活観も完全に変わりました。子供の遊びも、大人の遊びもいろいろな年中行事 も、そして仕事をするやり方までも180度と言われるほどの変化を遂げました。
 そこで、まだ戦前の流れと雰囲気が其処ここに残っていた昭和20年代後半から30年代を、過敏なる子供時代として過し体験した者として、その頃の知ったこと、その当時の生活の事柄を、完全に忘れ去る前に活字にしてまとめておく必要性を感じました。
 それから2年、記憶が定まりきれずに「だったと思う」と書かざるをえないところも多々有りました。しかし、疑問に感じる所は真実を追求してその都度書き直すこととして、ここに100ばかりの小話としてまとめる事ができました。
 今から50〜60年前の、子供の目で見て感じた農家の生活の香りを、少しでも嗅いでいただければ幸いに思います。

大塚基氏「私の100話」
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