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第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光

第4節:養蚕・畜産

畜産

研究

菅谷村畜産と自給飼料

 家畜の冬期における飼料需要期をひかえて購入飼料の手当買いは増しているようだ。我が第二(馬内)部落二十七世帯中畜産農家は十六戸この中十三戸は多少にかかわらず飼料を購入しているのだ。この十三世帯の三十二年度の飼料購入額は大体次の様だ。
麦糠(むぎぬか)に換算すると二百六十俵余りとなる。
三十二年度の金額にすると一九五、八五八円となる。家畜の少い馬内部落内ですら右【上】の様な統計が生ずるのであるからこれを菅谷村全村に見ると驚くべき巨額に達するであろう。
経済的変動などによって最近の乳価安と一方飼料高の現象がつづき酪農ブームも漸次下り坂の傾向を示してきた。従つて飼料自給を中心とした合理化を図り生産コストの引下げをする以外には方法がない。私は五年間の酪農設計書の実績を取りまとめて過去の体験をも総合的に考えてみると次のような基礎的な対策が必要であることがわかつた。
一、購入飼料を与えることを合理的にへらす
一、自給飼料作物を計画的に作付けて給与の研究とする
一、協同購入によるような飼料購入方法の研究が必要である。
一、飼料作物の反収を増大するような栽培技術の研究する。

五年間の年平均飼料価額(昭和二十八年以降)

大豆粕で十貫 麬八貫 糠麦八貫
      大豆粕       麬       糠麦
二八年  一、四〇五     六九七     六二〇
二九年  一、七〇〇     七五七、五〇  五六〇、四〇
三〇年  一、七〇六     七八四     六三九
三一年  一、六三八     七四五、八〇  六四〇、四〇
三二年  一、七五五     八三〇     七五三、三〇
平均価  一、六四〇、八〇  七六二、八六  六四二、六二


二十八、九年の月別飼料価額の変動は実に烈しきものがあつた。

昭和三十二年度月別飼料価額の変動

     大豆粕    麬   麦糠
一月  一、七五〇  八一〇  六九〇
二月  一、七五〇  八三〇  七三〇
三月  一、七六〇  八六〇  七三〇
四月  一、八三〇  八四五  七二五
六月  一、八三〇  八四五  七二五 【ママ】
五月  一、八三〇  八五〇  七五五 【ママ】
六月  一、七三〇  八三〇  七五五 【ママ】
七月  一、七四〇  八二〇  七五五
八月  一、七四〇  八六〇  七八〇
九月  一、七五〇  八二〇  七八五
十月  一、七四〇  八二〇  七七五
十一月 一、七四〇  八四〇  七八〇
十二月 一、七〇〇  八四〇  七八〇

麦は地方の価額を大体取りまとめたものですが村民各位が多少なりとも参考にして購入飼料を少しづつでもへらしたら菅谷村の発展の一露ともなるであろう。
(古里 吉場雅美) 

『菅谷村報道』86号「研究」 1958年(昭和33)1月25日
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