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第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌

第10節:嵐山町誌

四、村の地名

第1節:地名の由来

村々の地名

 志賀村の地名と同じように、他の村々にも沢山の地名があったにちがいない。そこで地名研究の第一段階として、先ずこれらの地名の集蒐にとりかかって見よう。その資料には「沿革」「検地帳」「風土記稿」「郡村誌」などをつかうことにする。

▽菅谷村

沿革 上―上、東側―東浦、下―下、東原―東原、清水―清水、久保―山続・御陳屋裏、西側―西裏、西裏―西裏、女堀―女堀、向原―向原、山王回―山王前・沼下、本宿上―本宿上、本宿―本宿、寺山―寺山、城―城ノ内・城ノ堀合・天神廓、上石堂―中石堂、下石堂―下石堂、坂下―坂下・淵ノ端
検地帳 寛文五年 東浦、堀ノ内合、淵ノ端、下石堂、坂下、坂上、東原、下、寺山、本宿、清水、沼下、本宿上、山王前、女堀、山続、上、向原、中石堂、城ノ下、城ノ内、天神廓(くるわ)、西裏、東裏、御陳屋裏、吹上ノ坂上(二十六字)
風土記稿 元宿
郡村誌 東側、西側、上、下、本宿、山王回、城

▽志賀村

沿革 検地帳は前出 外に飛地堂ヶ谷戸
風土記稿 鍬ヶ谷戸、坊谷、下新田
郡村誌 東町裏、西町裏、北町裏、窪の前、本竹、向原

▽平沢村

沿革 新旧みな同じ。上原、中谷、延明橋、金井、京枝、小石沢、遠道、北山、入、峯、赤井、松葉、小林、表、下山、後谷、尾曾葉、深山、下道寺
検地帳 寛文八年(1668) 赤井、前田、久保田、延命橋、京枝、堀向、仏句面、六反田、楚里町、川枝、兵庫屋敷、金井、大下、挽野田、ツブロウカ、下山、膳棚、小石沢、東遠道、西遠道、ヲソバ、深山、入ノ前、北山、下道寺、沼下、後谷、神花道、下原、境塚、原、中谷、上原、トウカ面、大久保、入、表、塩谷、カチ畑、畑ヶ中、デチウ坊、知明ヶ谷戸、切道、柳原、小林、大屋谷、松葉、峯、舞台、日向山、浄心場、掛折、金クソ(五十三字)
風土記稿 赤井谷、デシヨウ坊、タカン坊
郡村誌  表、閼加井、延命橋

▽遠山村

沿革 坂下―坂下・中沢、田端―田端、滝森―西裏、井ノ上―井ノ上、宮前―宮前、木ノ下―木ノ下、蛇跡―蛇跡、寺山―下里境、嘉原―打越谷、日向―山ノ根、打越―打越谷、物見山―打越、冥加沢―冥加沢、風早―風早・百八燈・白石、大平―横吹、向山―城山ノ腰、山ノ根―山ノ根
検地帳 寛文八年(1668) 冥加沢、山ノ根、サイモジヤト、坂下、打越谷、小林、田端、川向、向山、城山ノ腰、中沢、滝森、井ノ上、平竹、木ノ下、蛇跡、下里境、宮ノ前、横吹、滝下ノ前、百八燈塚、白石大境、風早(二十三字)
風土記稿 滝守、井上、小林、蛇谷、中沢、茗荷沢、打越、横吹
郡村誌 滝森、山の根、井の上、木の下
◇委員報告 精進場 高札場、元寺、滝之街道、御上人谷、捨場、六兵衛家敷跡

▽千手堂村

沿革 川枝―川枝・川屋田、原―原、中原―中原、山王―山王、石堂―石堂・坂下・阿弥陀ノ又、川坂―門先・墓ノ前・川坂、中島―中島、上ノ台―上ノ台坂・樫ノ木・後谷、明神前―明神前・田端・後坂下、小千代山―小千代山、沼下―沼下・コシマキ・親ヶ谷戸、谷―寺谷・鳥打・日向山・高座・高田、比丘尼山―五郎谷、上ノ山―西ノ沢・トヒノ入
検地帳 寛文八年(1668) 坂下、川坂、門先、墓ノ前、樫ノ木、上ノ台坂、明神前、田端、寺谷、後坂、小千代山、川枝、川屋田、阿弥陀ノ又、親ヶ谷戸、沼下、高座、高田、鳥打、五郎谷、西ノ沢、トイノ入、後坂下、日向山、コシマキ、石堂、中島、原(二十八字)
風土記稿 中島、原、谷、上
郡村誌 上の台、原、山王、川坂、谷

▽鎌形村

沿革 石代―石代、番匠面―川間、木ノ宮―木ノ宮、曾利町―アナタ、兼ヶ谷戸―兼ヶ谷戸、南門―南門・山ノ神、北原―原・大倉原、南原―原・大倉原、油免―油免台・柳沢、下宿―宿、北宿―植木山下、上宿―宿、上ノ台―植木山台、粟久保―粟久保、高城―大ヶ谷、下大ヶ谷―下大ヶ谷、上大ヶ谷―丸山、中大ヶ谷―丸山、亀之原―玉川境、南中島―中島、北中島―中島・岩清水、辻ヶ谷戸―辻ヶ谷戸・小峯、殿ヶ谷戸―殿ヶ谷戸、清水―馬場、馬場―馬場・宮ノ下、前谷―上原、東上原―上原、千騎沢―千騎沢、西上原―上原、後谷―上原、塩山―西裏、女久保―女久保、細原―小畔、塩沢―塩沢、西落合―落合、東落合―落合、野銭場―落合、大平―比丘尼山
検地帳 寛文八年(1668) 辻ヶ谷戸、馬場、上原、田向、塩沢、女久保、西裏、小畔、川端、小峯、殿ヶ谷戸、宮ノ下、千騎沢、宿、落合、供養塚、シヤラク屋敷、南門、山ノ神、原、兼ヶ谷戸、アナタ、川間、石代、上大ヶ谷、丸山、夜打久保、下大ヶ谷、栗久保、植木山台、油免台、植木山下、柳沢、木ノ宮、関上、大倉原、中島、玉川堺、岩清水(三十九字)
風土記稿 上原、塩沢、植木山
郡村誌 木曾殿、清水、上原、塩沢、植木山
◇委員報告 おかね塚、おしよき場、横町、沼の入、ごりんざん、田向い、山王、山際、供養塚、あみだのまた、さん(ぎ)がいと、小久保、ばんば街道、ふちのえ、天王河原、もくもく清水、照井の清水、清水

▽大蔵村

沿革 新旧同じ 大東、地尻、入加、小谷、坊ノ上、大谷、西原、御所ヶ谷戸、堀ノ内、下河原、柏田、宮ノ裡、行司免、木ノ宮、上河原
検地帳 寛文八年(1668) 堀ノ内、宮浦、行地免、木ノ宮、川原、坊ノ上、地尻、坂口、谷、柏田、御所ヶ谷戸、窪口、西ノ原、小林、入加、田縁、遠山ヶ谷戸、清水、西海道(十九字)
風土記稿 堀ノ内、木ノ宮、御所ヶ谷戸、柏田、入鹿山ヶ谷戸、傾城久保、地尻、粟津ヶ原(不逢ヶ原ともいう)
郡村誌 大東、地尻、入加、小谷、大谷、西原、宮裡、行司免、木の宮、柏田、堀の内、御所ヶ谷戸、坊の上

▽根岸村

沿革 坂上―坂上、道上―道灌・田島、沼田―沼田、下河原―下河原、前山―仕止山・谷
検地帳 寛文八年(1668) 道上、坂ノ下、屋敷際、谷、川原際、道灌、水押、下川原、山下、仕止山、田島、竹際、前畑、沼田、日向、墓ノ際(十六字)
風土記稿 我妻山、シトメ山、日向、坂ノ上、傾城谷
郡村誌 坂上、沼田、下河原、前山

▽将軍沢村

沿革 中山―西方・大谷、西方―芝原・崖崩、上大谷―大谷・西原、下大谷―清水・沼向・高城、八反田―大宮裏・反間・前田・落合・熊市・別当、東方―百八将軍前・山王下、一町田―焼面・根岸前・栗狭、丸山―丸山・糟谷、三反田―坂上、田向―吉田・金糞谷、稲荷林―稲荷林、仲ノ町―仲ノ町、大平―沼ノ西・順礼街道、坂上―観音海道・大沼下、南鶴―鶴巻・西谷、鶴巻―新林・観音上、高城―笛吹峠
検地帳 寛文八年(1668) 矢ノ袋、壱丁田、八反田、前田、百八田、落合、薬師堂前、高城、焼面、栗狭、反間、丸山、境、鳴池、中の町、孫三谷、鶴巻、薬師堂原、三反田、田向、大平、順礼街道、蟻久保、西の原、越生街道、仕止山、入加、山王下、久保、稲示場、トウカ田、山尻、田端、堀間、池尻、屋敷尻、新田ノ下、東裏、浦地、沼端、カゲ下、粟久保(四十二字)
風土記稿 高代、鶴巻、三段田、ラウス塚(茶臼塚トモイヘリ)
郡村誌 三反田、高台、鶴巻、沖の町

▽古里村

風土記稿 中内手、峯内手、モウチ
郡村誌 前田、明時、下耕地、駒込、岩根沢、長峯沢、尾根、向井、藪谷、中内手、内手、神伝田、上耕地、柏木、道参山、神山、御領台、富士塚、原後、林合、中の下、新林、蟹沢、二塚、茨原、保井、元全町、清水、善久、上土橋、下土橋
◇土地台帳 原後、保井、茨林、新林、林合、中ノ下、馬内、清水、元全町、下土橋、上土橋、善久、二塚、蟹沢、御領台、道参山、神山、上耕地、柏木、中内手、籔谷、岩根沢、峯沢、駒込、向井、尾根、内出、神伝田、前田、明時、下耕地
◇委員報告 こぶ田、不時抜き、柴原、向井山、走り下り、おぼん前、山の神、諏訪台、御嶽山、どかどか、かんかん井戸

▽吉田村

検地帳 宝永二年(1705) 前、天神下、西村屋敷、うば谷、小田谷、大谷、高山、三反田、三反田入、三反田沼下、長竹辻、しやくし、長竹、後、みやうが、八反田、ばんば、ばんば川ばた、宮田、いけのや、五反田、五反田入、越畑前、鶴まき入、鶴まき、なべ谷下、なべ谷、高たう、えの木町、川端、おなかた、くつかた、しみづ、畑あい、よふさた、竹のはな、六反田、あまがいと、沼入、明加、田嶋、山下、さが、勝田境、ほうぞうし、東畑、前入、西の谷、金山、向、長竹田端、長竹道ぞい、大久保谷つ、向の谷つ、長竹まへ、長竹道上、うしろ宮わき、後角、矢崎、東うら、みやうが駒込しを境、つつみ、手白、かに沢、長おねやつ、長おね、野山、中山、手白前、うらの山、前畑、新沼、山沢、きやうご(京五)、大やつ、こたやと、にしやと、うばやと、につい沼、屋敷、につい沼入、岩殿沢、大くぼやと、神田山、居屋敷内後、たなべ屋敷、との山、大つか山、清水、屋敷の前、沼入
風土記稿 上、下、長竹、前谷、沼下
郡村誌 長竹、沼下、前谷、下、上
◇土地台帳 三反田耕地、長竹、社宮司、後耕地、東浦耕地、明賀耕地、八反田、陳屋東、前、西ノ谷、姥谷、高山、大谷、新沼下、池谷台、池谷、宮田、五反田、馬場、寺前、川端、堰、小在池、中谷、亀井作、清水、天神台、池田、前谷戸、宮山、宮下、竹の花、一町田、六反田、前谷、宝蔵谷、谷戸、蟹沢、鍋谷、鶴巻、山下

▽越畑村

風土記稿 櫛引、大槻、深谷、島、大木
郡村誌 柳原、前大月、島、後谷、小東、中櫛引、下櫛引
◇土地台帳 大谷、小越、新田、堂入、上串引、岩入、川越谷、花火原、本田谷、岩鼻、三反堂、入山、丸山、日蔭、柳原、後大月、前大月、穂切谷、松沢、十三間、幡巻、岩沢、仲町、社宮寺、軽巻、幡後谷、六反田、日向、三反町、宮前、島、山ノ神、大堂、幡後谷前、冨士山、大沢、中串引、関場、立山、地方、相模、船久保、東川端、西川端、高倉前、北ヶ谷戸、大木、深谷、後谷、西山、下串引、城山、大木前、清水、小栗、大木入、東山、白山

▽勝田村

風土記稿 高倉、新井、天神山
郡村誌 高倉
◇土地台帳 北ノ内、西新井、菅原、前耕地、柳町、下広地、池ノ頭、猿田、大ノ田、芳沼入、道満ヶ谷戸、花見台、洞分、尺尻、高山、油面、新田坊、石神、高倉
◇委員報告 オタケナイ、花見堂、堂山、鹿島台、バンバ、荷鞍田、池田、金塚、清水山、ムジナ谷津、入の原、沖、陣場

▽広野村

風土記稿 川島(飛地)、勝田(飛地)、上郷、中郷、下郷
郡村誌 中郷、下郷、広野ヶ谷戸、川島、勝田
◇土地台帳 腰巻、広谷戸、石倉、寺前、寺台、大野田、馬場、中郷、金塚、深谷、竹の花、大田坊、下郷、金皿、荒井、扇谷、大下、六丁
◇委員報告 的場、陣屋、馬場、安楽坊、慶願、大明神、捨場、天ヶ谷

▽川島分

◇土地台帳 西耕地、花見堂、市海道、新田前、岩花、天沼、清水、沼下、長山、豊田、屋田、赤坂下
◇委員報告 天神林、びしや伝(でん)、馬街道、竹の花、ねばっと、大台、古屋敷

▽杉山村

検地帳 慶長二年(1597) 屋敷前、後谷、溝堀、谷、もくの入、岩花、うつぎ花、ほそ田、かみ田、沼の谷、笠張、あくと田、せき口、大町、金山、城ヶ谷戸、猿ヶ谷戸、川袋
元石帳 文政年間 セリ田、丸田、ごぜん田、沼田、合の町、かみ田、谷ツ、滝の入、しも田、溝堀、ほそ田、杢の入、水道端、宮のこし、くつがた、前田、谷ツの前、畑ヶあへ、宮田、牛ヶ沢、広地かみ田、前田弁天前、広地道端、はしば、溝堀橋場、溝堀道下、よし沼、岩花久保田、城ヶ谷戸中道、打こし、ほり合、堤下、稲荷前、角田、まま下、大町前、笠張前田、大町前車田、大町がうがへをさ、大町三ッ保田、長田、柳田、関口、宮坂、横山、滝の入、くねばた、はかの前、東の前、道下、長をさ、笠張、関口、ねがらみ、たない橋前、合の町、川袋、六丁前、関下、はしば、おかだ、まがり、田嶋、関場、山神脇、鶴まき、火打田、榎田、四ッをさ、猿ヶ谷戸沼下、久保田、脇、本繩田、山城田、川端
風土記稿 堰口、川袋
郡村誌 雁城、打越、杢の入、岩花、関口、稲笠、川袋
◇土地台帳 打越、峯ノ入、谷、谷前、豊岡、稲笠、中窪、城山、清明、岩花、玉岡、雁城、上城ヶ谷戸、下城ヶ谷戸、薬ノ峯、薬師前、裏猿ヶ谷戸、表猿ヶ谷戸、堂谷戸、川袋、大袋
◇委員報告 代官面、御前田(ごぜんだ)、六万坂、御林(とね山)、十三塚

▽太郎丸

風土記稿 なし。
郡村誌 宮前、三堂(みどう)前、川端、居屋敷、内谷、瀬戸、申山、表谷
◇土地台帳 子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥、甲

 以上で一応地名集蒐の作業は中止する。吉田村や杉山村の例によっても分るように、検地帳によって各村の地名を求めれば、もっとはるかに多い小地名が出てくる筈である。然し今はその暇がないので一応入手し得た資料のみに止めることにする。
 さてこれらの地名からどの程度まで私たちの祖先の生活が探り得られるか。それはたずねる人の力量に拘わる問題であるが、とに角研究を進めてみよう。

『嵐山町誌』(嵐山町発行、1968年8月21日)
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