第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
二、村の生活(その一)
第3節:村役人
遠山村役場付書類目録
遠山村杉田角太郎氏所蔵の「遠山村役場付書類目録」という書冊がある。内容から推して明治八年(1875)頃のものである。当時遠山村役場に備付けられた書類は次のものである。
○寛文八年(1668)御検地帳及びその写
○文化元年(1804)田方書抜名寄帳、畑方書抜名寄帳
○明治四年(1871)田方租税名寄帳、五年(1872)畑方租税名寄帳
○年号不詳村絵図面
○延宝七年(1679)遠山寺山論御裁許絵図面
○享保十年(1725)田黒村山論御裁許絵図面
○村差出明細帳
○旧地改所御下知書
○文化元年田畑反別改帳
○天保四年(1833)畑成新田川欠立帰書上帳、同御年貢取立帳
○田畑御年貢皆済帳
○文久二年(1862)より明治四年(1871)まで御割附
○文久二年(1862)より明治三年(1870)まで御年貢皆済目録
○嘉永年間(1848-1854)御褒美割渡帳
○御役銭帳
○五人組御改下書
○宗門人別御改帳下書
○石高帳
○田畑荒地山成取調書控、同高反別帳
○村鑑帳
○送籍加籍証
○送籍御裏書御判願書
○明治五年(1872)高反別一村限帳控
○田畑貢高帳控
○耕地表控
○貫物割合帳
○橋掛入用割渡帳
○番号絵図面
○御拝借南京米御返上書控
○前橋御用印鑑
○地券大帳控、同地引絵図面、同名寄帳
○官林箇所取調帳控
○租税皆済帳
○租税上納割賦帳
○地券御施行ニ付御請書控
○御館内絵図面
○証券印紙規則一目表
○明治七年(1874)大陽暦耕作一覧
○御布告写、御布告活版摺
○神社明細帳控
○寺院明細帳控
○明治五年(1872)神社六ヶ年平均書控、同寺院社寺図控、社寺租税取調書控
○明治六年(1873)証券但し惣村持
○明治七年(1874)社寺境内外反別取調書上帳控以上煩をいとわず、記載のとおり書きあげた。
『嵐山町誌』(嵐山町発行、1968年8月21日)
この中には明治以降新に出て来た役場事務に関する書類もあるが、大体に於て旧幕時代の書類が多い。明治の村役場は旧幕時代の村役人役宅のそのままの延長である。これによって旧幕時代の村役人の仕事の範囲や内容をうかがうことが出来る。帳簿は処理した事務の実績を示すものだからである。中には維新後の村政執行には直接関係のない書類がある。例へば遠山寺山論、田黒村山論に関するようなもの、五人組帳、宗門人別改帳、検地帳、田畑名寄帳、年貢割賦、同皆済目録等幕府役人の職務とする公事方、地方関係の書類があるが、これが役場に残っていることは、旧幕時代の村役人がこれ等の事務に直接たずさわっていたことを証拠づけるものである。村の政治に直接あたり、村民の利害を双肩に背負っていたのは村役人である。